普通の会社であれば投資案件があるごとにその投資をするべきか否かを判断するというのは当たり前のようにやっているのは想像できると思います。
私も長年上場企業のメーカーにいたので上記の運用は何度も経験してきました。
例えば会社によってルールは違うと思いますが投資額1億円以上の大きな投資になると、決裁権者がより上位者になってくるので、その判断の前提となる市場環境や、その投資で増加するキャッシュフローのシミュレーションなど、稟議書として作成する前に、何度も何度も作っていました。
市場のシェアの条件を変えたり、売れる数量を何か手を打つことで増加させてみたり、コストも何か手を打つことで生産効率が上がり原価が下がるとか、材料の素材をかえて購入コストが変わるから原価が下がり、利益が増えるとか・・・。
延々とシミュレーションを繰り返して稟議書として完成してみると、回覧する上位決裁者が異論を唱えてまたシミュレーションを作り替えたりして、本当に骨の折れることが多かったです。
決裁が降りていざ生産を開始してしばらくしてみるとたいがいそのシミュレーション通りには行かず、大体がシミュレーションより悪い結果になったりして、投資が失敗することも多かったように思います。
ところが、不動産投資の場合は心得ある人は投資前に同じようにシミュレーションして、投資すべきかどうか判断するわけですが、おおよそはそのシミュレーションが外れるようなことは少なく、シミュレーション上で良い数字が出るような物件の場合は、実際にその数字に近いところで運営できることの方が多いように思います。
なぜならば、そのアパートなりマンションなりのエリアの家賃相場があり、その入居付けは大家や募集する不動産屋が頑張れば、おおよそ想定通りに運営できます。シミュレーションでその条件を織り込めば、大外しをするような事もなくそのシミュレーション通りに運営できる場合が大半のように思います。
つまり、アパートやマンションの賃貸経営は、上述のメーカーの設備投資判断とかに比べて変動要因が少なく、大概のパラメーターはコントロールできることが多いということです。
不動産投資はつまり、シミュレーションをしっかり行って大丈夫と判断した投資対象に銀行から融資が引ければ、再現性高く投資成果を得られるということです。
融資を引くことに恐怖心を抱いてしまったりしてそもそも不動産投資が怖いとか、「マンションオーナーになれる」とか「不労所得が得られる」というような言葉に酔ってしまって、シミュレーションをしっかり行わないまま物件を買ってしまったとか、そういうことにならなければ再現性高く結構うまくいくことの方が多いと思うのです。
そのあたりを得心できるかできないかが、不動産投資でうまくいく人とそうでない人の差になってくるのではないかと思います。
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